「下諏訪のイケてる店主巡り」　その2〜ninjinsanからの続きです…

私「やっちょさん、イケてるお店を紹介してください。」

「ちょっと待って」とやっちょさんは手書きの地図を書いてくれた。

そこに書いてあったお店が「はっこ」

ninjinsanを出て、衣紋坂を下り、下諏訪駅方面に歩くこと5分。

下諏訪駅の正面道路の向かって左側に「はっこ」があった。

正面に着いたが、看板も何もない。初見ではお店なのかどうかもわからない。

取材で訪ねたときは、筆者ももう何度も通っていたから迷いはなかったが、やっちょさんに紹介してもらい初めて訪ねたときは、何度も店の前を歩き回ったことをよく覚えている。

店主のしんごさん、通称“はっこさん”

店内でお分かりの通り、美容室である。

はっこさんは基本的にこういった取材は受けていない。

お高くとまっているわけではなく、情報が独り歩きして、誤解を与えてしまうことがあるからだ。

はっこさんは下諏訪町の隣町、諏訪市のご出身で、元々東京で美容師をされていた。

「髪には何がいいのか」を突き詰めた結果、結局は私生活の部分、食事、睡眠、運動が重要なことがわかり、無農薬の野菜作りをしたくて東北に移住を決意したが、東日本大震災の影響で受け入れ先が対応できなくなってしまった。

途方に暮れていたとき、既に下諏訪町でお店を開いていた友人に誘われる形で、美容室「はっこ」をオープンするに至った。

筆者ははっこさんの仕事に対する考え方や、これまでの経緯を聞くのが大好きで、高校時代の破天荒話や、東京で感じたこと、戻ってきてお店を開いてからのこと、面白い話がたくさんある。

ふざけた話もするし、下諏訪のこれまでとこれからどうすべきか、といった話もする。

とてもカッコいい。
カッコつけないカッコよさを持っている方である。

文章にするとキザに聞こえてしまうので、お話をしたい方は是非一度はっこさんへ。

はっこさんは気軽に入れる店を目指しているので、どうぞお気軽に。

そして1日にカットする人数も多く、技術も超一流。

旅のついでに髪を切って帰るのもいいのではないか。

予約はできないので、扉を開けて、声をかけてみてくださいね。

終わりに…
下諏訪の店主と知り合っていく中で、感じることがある。
皆、がっぽり儲かっているというわけではない。
しかし、自分の考え、やりたい事がはっきりしていて、
自分らしい生き方の上に、それぞれのお店がある。

私が都会で仕事をしていた時、自己顕示欲や承認欲求が高い人が多く、とても疲れた。それが悪いとは言わないが、同じ土俵で終わりのない戦いをしている人が多かった。

下諏訪の店主たちはそれぞれが土俵を持っていて、そこと向き合っている。
それがとても居心地がいいまちの所以である。

小口 正史

下諏訪町出身。中学生以降、静岡、群馬、大阪を渡り歩き、信州下諏訪町にUターン。家業の旅館を手伝いつつ、地域内外の人に諏訪を楽しんでもらう活動「諏訪ジャーニー」を立ち上げ、観光振興やまちづくりに取り組んでいる。