まちから一歩どころか半歩でるだけで自然があふれるのが下諏訪町。街中には、飲食店、居酒屋、ショッピングセンター、カラオケなど、個人店だけでなく、チェーン店も軒を連ねる。“田舎っぽくない田舎”“生活しやすい田舎”といわれる所以である。
この記事では筆者自身、幼少期によく遊んでいた街中から半歩外の自然、川遊びを紹介する。また、周辺スポット情報もお伝えしたい。
三角八丁(さんかくばっちょう)エリアの諏訪大社下社春宮(すわたいしゃしもしゃはるみや)から、万治の石仏(まんじのせきぶつ)への向かう間に、砥川(とがわ)が流れており、砥川の中央に浮島がある。駅から歩くと徒歩20分。
赤い橋が目印で、そこを渡ると浮島に上陸できる。
浮島の両側を砥川が流れており、冷たい風が流れ、夏でもとても涼しい。
20年前、私が小学生の頃、夏休みはこの浮島を中心に、カニを取ったり、モリで魚を突いたり、飛び込みをしたり、よく遊んだ。まだ初代ゲームボーイ、初代プレイステーションの時代である。今はスマートフォン、ゲームがあふれ、川遊びなんかしないのだろうな…と思って歩いていると
いたいた!
川遊びを楽しむ中学生集団と、浮き輪にブルーシートなど万全装備の家族連れ。
子どもが川で遊ぶ間、ママ友たちは木陰で談笑。
中学生集団は何をしているのだろうか。このご時世、不審者だと思われないだろうか、という不安を抱えながら聞いてみた。
私 「みんな、ここで何しているの?」
みんな 「アマゴ取っていますー!」
軽く返答してくれた。後から考えてみると、道端で挨拶や会話することが日常の下諏訪では、話しかけることに躊躇する必要はなかった。
そして、今でも砥川の下流にアマゴが生息しているのはとても嬉しい。川遊び中のみんなにどういう集まりなのか聞いてみた。
私 「どういう仲間なの?」
みんな 「中学の野球部です!下中と社中!」
私 「女の子はマネージャー?」
みんな 「ううん。バスケ部!」
下諏訪町は小学校が2校(南小学校、北小学校)、中学校が2校(下諏訪中学校、社中学校)で、学区が同じなので、9年間同じメンバーで過ごす。私は南小学校出身で、北小学校とは中々馴染めなかった(馴染む機会がなかった)ため、スポーツを通じて横の繋がりができていることが嬉しかった。今日は部活の後に遊びに来ているのだろうか。
私が「写真撮っていい?」と聞くと
みんなは「何に使うの?ブログ?ツイッター?インスタ?」
おぉ、自然遊びはそのままに、IT化、SNSの利用はちゃんと進んでいた。みんなスマートフォンを触っている。
私「下諏訪の旅館組合のブログに使ってもいいかな?」
みんな「いいよー!」
撮って撮ってと言わんばかりの集合写真とポージング。
時代は進み、都会では人と会わなくても生活できる環境になってきている。それが悪いとは思わないが、何か人間味の無さ、寂しさを感じていた。しかし下諏訪では、スポーツや自然遊びを通じ、顔と顔を合わせたコミュニケーションが続いていることに安心と感動を覚えた。
下諏訪に来た方には、こういった自然や人と人との繋がりを感じてほしいし、我々はそれを後世まで守っていきたいと強く感じた。
また、砥川の近くには、観光スポットも多い。
①カフェ、②お蕎麦屋さん、③足湯、④文化施設をご紹介する。
①和カフェ「お茶処・花結び」
「花結び」は下諏訪出身の女性店主、加藤さんが1人で切り盛りしている、珈琲と和のデザートが楽しめるカフェ。
「いいロケーションなのに休憩できる場所がない」と、オーナーが買い取った物件を改装し、昨年オープンした。店主の加藤さんは、「いつかお客さんがゆっくりできる場所をつくりたい」と考えていたこともあり、オーナーから話を受けて店主となった。「カフェではなく、気軽に話せる喫茶店がやりたい」と話す。旅の感想を話したり、下諏訪のことを聞いたりしたい場合は、気軽に加藤さんに話しかけてみてほしい。
店主オススメの八海山のあまさけ(冷)と、福田屋さん名物の信州あべ川もちをいただいた。
あべ川もちをパクり。ほどよい弾力のおもち、口の中に自然な甘さが広がる。甘酒は甘酒特有のつぶつぶがなく、飲みやすい。私は普段甘いものを食べないため、甘いもの×甘いものはキツかったが、甘党にはたまらない一品だろう。
お茶処 花結び
住所 下諏訪町89
電話 0266-28-0876
営業時間 10:00~16:00(ランチ 11:00~14:00)
定休日 日曜日・祝日
②蕎麦屋「清明祥世庵(せいめいしょうせいあん)」
蕎麦どころの信州では、ご飯ものを提供している店が意外と少ないが、「清明祥世庵」では、蕎麦だけでなく、天丼やかき揚げ丼も提供している。お店は広く開放感があり、店員の皆さんがとても親切で、私が紹介した観光客の皆さんにもとても満足いただけた。
清明祥世庵
住所 下諏訪町456
電話 0266-78-3140
営業時間 11:00~14:00
定休日 月曜日
駐車場 3台
③足湯「髪処 化粧屋」
店名の通り美容室だが、入口付近に誰でも自由に利用していい足湯がある。
可愛らしいミニタオルも販売されているので、何も持たずに利用できるところが嬉しい。また、駄菓子屋さんも併設されており、地元の小学生のたまり場になることも。
髪処 化粧屋
住所 下諏訪町458番地2
電話 0266-28-8866
営業時間 8:00~18:00
足湯利用 無料
④文化施設「おんばしら館よいさ」
「おんばしら館よいさ」は、七年に一度、開催される「御柱祭」に対する諏訪人の思いとその迫力を楽しんでいただくために、2016年にオープンした施設。解説員であるシルバー人材センターの物知りなおじいちゃんが館内を案内しながら、御柱について教えてくれる。実際に長年に渡って御柱を経験してきたおじいちゃん達の解説は実に面白い。聞けば聞くほど、熱く生き生きと話し出す姿は、御柱への想いとプライドを感じ瞬間である。
また、御柱の名物「木落し」の体験ができる。
併設の売店が、開かずの売店となってしまっており、とても寂しい印象だが、御柱の歴史や概要について理解する施設としての魅力は大きい。
おんばしら館 よいさ
住所 下諏訪町168番地1
電話 0266-26-0413
営業時間 9:00~17:00
定休日 年中無休(臨時休館あり)
入館料 大人 300円/子ども(小・中学生) 200円
小口 正史
下諏訪町出身。中学生以降、静岡、群馬、大阪を渡り歩き、信州下諏訪町にUターン。家業の旅館を手伝いつつ、地域内外の人に諏訪を楽しんでもらう活動「諏訪ジャーニー」を立ち上げ、観光振興やまちづくりに取り組んでいる。